朝日町女子中学生殺人事件 (三重県中3女子死亡事件)当時高校3年の男が起こした殺人事件

朝日町女子中学生殺人事件 (三重県中3女子死亡事件)当時高校3年の男が起こした殺人事件

三重県中3女子死亡事件(みえけんちゅうさんじょししぼうじけん)は、

2013年8月25日午後10時55分頃に

三重県三重郡朝日町で発生した事件である。

三重県警による正式な呼称は 

三重郡朝日町地内における女子中学生強盗殺人・死体遺棄事件

別名、朝日町中3致死事件三重・朝日町女子中学生致死事件

当初は強盗殺人事件として扱われたが、強制わいせつ致死罪・窃盗罪での立件となった

怨恨もなく見かけただけの女子中学生を殺害し、自身の同級生たちにも悟らせないように工作していたことへの強い批判がある。

目次

概要

2013年8月25日午後、

夏休み中の被害者の中3女子A

(当時15歳、朝日町付近で事件現場に隣接する四日市市在住)は、

友人とイオンモール四日市北付近に行き四日市花火大会の花火を見に行った。

花火大会は午後7時頃 – 午後8時半で終了した。

午後10時頃に富田駅から乗車して朝日町の友人と仲良く話すために最寄りのJR朝日駅で下車した。

近くのスーパーマーケットで友人と別れて四日市市自宅に向かい、家路についたがこの際に無料通信アプリのラインで姉が帰宅を促したのでAは「帰っとるって言ってるやろ」とメッセージを送った。

午後10時55分頃、

Aはスマートフォンで友人にメッセージを送信する。

午後11時頃、

複数の友人がAにメッセージを送るが未読だったため、警察はこの5分間にAが襲われて殺され、現金約6,000円の入った財布を強奪されたものと見ている。

8月27日、

Aの父親が警察に捜索願を出した。

8月29日午後2時半頃、

警察官が三重郡朝日町埋生地区の県道脇の農地付近の空き地でAの遺体を発見した。

遺体は草叢の上に仰向けで横たわり、下着以外の衣服は身に着けておらず、財布から現金(約6,000円)が抜き取られていた。

8月30日、

三重県警が遺体をAと確認。

強盗殺人・死体遺棄事件として四日市北署に約90人態勢(後に110人に増加)の捜査本部を設置した。

司法解剖の結果、Aの死因は窒息死と判明した。

Aの口の周囲は内出血し、腕にもうっ血した痕があったため、口や鼻を強く押さえつけて殺害した可能性が指摘されている。

11月28日、警察庁は犯人逮捕に結び付く有力情報の提供者に最高300万円の公的懸賞金(捜査特別報奨金)を支払うことを決定した。

逮捕事件から半年近くたった、

2014年3月2日夜、

四日市北署の捜査本部は強盗殺人の容疑で朝日町に住む少年B(当時18歳)を逮捕した。

捜査本部は少年が前日に県立K高校を卒業するタイミングを待って捜査を進めており、同日朝から少年を任意同行し事情聴取や自宅の家宅捜索をして裏付けを進めていた。

三重県警は捜査員延べ約8000名を投入し、付近の約100か所に設置された防犯カメラの映像を解析し、現場周辺の近隣住民などへの聞き込みや現場で集めた証拠からBが事件を実行した疑いがあると判断した。

2014年3月23日、

強盗殺人の疑いでBは津家庭裁判所に送致された。

同日、家裁は2週間の観護措置と少年審判を開始することを決定した。

Bは「私が犯人です。1人でやりました」と容疑を認めている。

2014年4月25日、

津地検は強制わいせつ致死・窃盗罪で少年Bを起訴した。

強盗殺人の疑いで逮捕されたBを強制わいせつ致死罪などで起訴したことに関して、地検の柴田真次席検事は「殺意を証明する証拠を集めることができなかった。遺族には引き続き、処分の理由を誠実、丁寧に説明したいと思っている」としている。

6月26日、

三重県警は犯人逮捕に繋がる情報を提供した2人に報奨金を計200万円支払うと発表した。

捜査特別報奨金の対象事件の内、容疑者不明の事件で報奨金が支給されるのは本事件が初。

被害者は明るい性格で父親想いであり、多くの人に親しまれていた。

存命であれば、2014年3月7日に卒業式を迎える予定であった。

Aの遺族は、自宅ポストに「遺族・親族一同」として「犯人の行為は決して許すことができず、厳罰を望んでいます」と記した紙を張り出した。

Aの両親(共に45歳)はBが強盗殺人ではなく強制わいせつ致死等で起訴されると、事件後初となる記者会見を開いて「納得できない部分はありますが、裁判所は重い判決を下してほしいです」と述べた。

容疑者県内のK高校の3年生(男子)で、前日の卒業式には出席し、友人と談笑していた。

「同級生らは信じられないと動揺していた」

「成績も良く、友人も多かった」

「皆に慕われる明るい性格だった」

と報道された。

しかし、家を知る地元住人では「マスコミは何を調べてあんなことを言っとるんですか。人間ができとる? 頭がいい? まるっきり違う。警察や教委はよくマスコミをあれだけコントロールしたな、と近所では失笑してますよ」と「犯人は優等生報道」に実態が違うとの不信感が残っている。朝日新聞も2010年に現場近くで未解決になっていた器物損壊事件をおこしていたことを報道している。

少年は事件当日、自身のツイッターで

「ちょ、え、めっちゃやばいやん」

「四日市の女子中学生らしい…手の震え止まらん。」

などと事件についてツイート。

自宅に捜査員が来た後に

「近くの家の人に聞いて回るらしい」

「気持ちの整理がつかない」

「THE・平和の町やったのに(T-T) 気持ちの整理つかんわ…」

などと終始事件と逮捕前日の3月1日まで無関係を装っていた。

少年のTwitterは「金目当ての犯行」と主張して逮捕されるまで変わったところは無かった。しかし、金目当てなのに6000円所持の中学生女子を襲ったことや遺体から疑念を持たれていたが、「家族にわいせつ目的だったことを知られるのが嫌だったから、金目的と言ってしまった」などと話した。

裁判審理は裁判員裁判により行われ、2015年3月24日、津地裁は少年Bに対して「犯行は悪質で強い非難を免れない」として懲役5年以上9年以下の不定期刑の判決を言い渡した。

同年4月6日、津地検は一審判決を不服として名古屋高裁に控訴した。

同年7月17日、名古屋高裁で控訴審初公判が開かれた。検察側は冒頭陳述で「意識を失わせてわいせつ行為に及んだ危険な犯行。被害者には何の落ち度もない。懲役の上限を10年にすべき」と主張した。

弁護側は「裁判員裁判の判決は尊重すべきだ。」と反論した。

9月17日、

名古屋高裁は「1審の判決は計画性を考慮している。」として1審判決を支持。

検察側の控訴を棄却したため刑罰が一審判決の不定期刑に確定した。